2000年代初頭にアメリカで製織されたと推測されるデッドストックファブリックです。 兵庫県三ノ宮の縫製工場にて長年保管されていたものを引き継ぎました。
落ち着いたトーンのブラウンをベースに、水色や白、鈍いイエローなどの多色糸を用いたドット柄が散りばめられています。ドット部分は光沢のある糸を用いたジャカード織りで表現されており、ベース生地のマットな質感との違いによって柄が立体的に浮かび上がります。また、ポリエステル100%の特性を活かし、熱処理によって定着させたと推測される縦方向の細かなプリーツ状のシワ加工が生地全体に施されており、豊かな陰影を生み出しています。
特筆すべきはその織り組織です。裏面を確認すると、ベージュやブルーグレーの糸を用いた太いストライプ組織となっており、表裏で全く異なる意匠を持つ複雑な二重織りのジャカード構造であることが窺えます。表面のドット柄と裏面のストライプを一枚の布に同居させる、機屋の緻密な設計と技術力の高さが見て取れます。
元々はソファの張り地やクッションカバーといったインテリア向けとして製造された生地と思われますが、しっかりとした打ち込みとポリエステル特有の適度なハリがあり、洋服用途にも十分に対応可能です。表裏の対比やシワ加工のボリューム感を活かした一重仕立てのジャケットや、構築的なシルエットのスカートなどへの仕立てに向いています。
当時の織機による高度な構造と、視覚的なテクスチャーが交差する、資料としても興味深い一品です。